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音程

作編曲に興味を持ったとき、一番最初に知っておくと良いのは「音程の数え方」です。音程とは「ある音から別のある音までの隔たりがどれくらいか」を示すものですが、例えば「ミからラまで」の音程ってわかりますか?あるいは「ミからラ#まで」だったら?・・もし答えに迷ったら、そこがスタートです。

どうして「音程」がスタートかというと、メロディを考える時にもコード(和音)を付ける時にも、もれなく音程の考え方が登場するからなんです。感覚で何となく作れてしまうスゴイ人もいるかもしれませんが、きちんと順序立てて曲を設計しようと思ったら、やはり音程を数えることを避けては通れません。

日本では「音程」という語が2つの意味で使われています。1つは正しい訳であるインターバル(英:interval)、もう1つは本来「音高」と呼ぶべきピッチ (英:pitch)です。音程が良くないと聞くと作曲家は音の選択に、演奏家は自分の演奏に、それぞれ問題があったと感じるようですね。

奏者が合奏中に音程を指摘されるのは、「自分の出す音」と「仲間の出す音」が楽譜に書かれている音程とは違った響きを作り出してしまっているときです。奏者がピッチを僅かに上下させつつ正しいインターバルが鳴るようコントロールしてくれるおかげで、作者の意図した音楽が再現されるというわけです。

ピッチの良し悪しは演奏者にお任せすることにして、作曲者はインターバルを常に意識しておく必要があります。曲を料理に例えるとしたら、楽譜はレシピ、音程は下ごしらえ、といった感じでしょうか。ここで不適切な選択をしたり分量を間違えたりすると、ベストな仕上がりにはならなくなってしまいます。

下ごしらえとしての音程が特に活躍するのは、和音について詳しく見ていくときです。裏を返せば、音程が数えられないと和音を理解することはできません。音程の広狭はまるで「大さじ1杯」「小さじ1杯」というのに似ていて、クラシックの和音もジャズのコードも等しくその分量通りに構成されています。

イチゴ味のグミとリンゴ味のグミを、目隠しして順番に口に放り込まれたとします。どちらがどちらか言い当てられる気がしませんか?人間の味覚、嗅覚、聴覚は、インプットされた感覚をもう一度経験すると記憶と共に蘇るという点でとてもよく似ています。よく知っている味、匂い、音には敏感なんですよ。

このような五感の感覚質を「クオリア」といいます。食べたことのある人が口にすればすぐに"それ"だとわかるように、音程や和音も固有のクオリアを持っているので、一度定着すれば種々の和音やコードの違いが自然に感じ取れるようになります。そしてそこから先こそが、作曲の一番楽しいところですね。

クラシックやジャズでは多彩な和音が曲の魅力に大きく影響するため、作編曲のためのエクリチュールはまず音程からスタートします。この学習には「楽典」を使いますが、楽典についてはこちらでご紹介しています。http://www.ecriture.online/blog/archives/1

「音程」は2つの音の隔たりなので、まずどちらを基準に数えるかを決めます。どちらからでも同じ結果になりますが、低い方を基準にするとわかりやすいでしょう。基準音を1として、もう一方がいくつになるかをドレミファソラシに沿って数えます。基準がドで他方がミなら、ド1レ2ミ3で「3度」です。

では基準がレで他方がシだったら?レ1ミ2ファ3ソ4ラ5シ6、というわけで6度です。簡単ですね!ではミからファの音程は?ミ1ファ2で2度ですね。ファからソの音程は?ファ1ソ2で同じく2度です。でも、ピアノの鍵盤を見てみるとミ〜ファは半音、ファ〜ソは全音。同じ「2度」と呼んでいいの?

2度は2度でも半音と全音の音程は全然違いますね。その区別をするために「2度」の前に「長」「短」という言葉をつけて、半音は「短2度」全音は「長2度」と表現します。「長」はメジャー(英:major)、「短」はマイナー(英:minor)の和訳です。音程がより広い(長い)方が長2度です。

同じ理屈でドからミ♭の音程とドからミの音程を「短3度」「長3度」と区別します。同様にド〜ラ♭は「短6度」ド〜ラは「長6度」ド〜シ♭は「短7度」ド〜シは「長7度」となるわけですね。では、ドからソ♭の音程とドからソの音程はどうでしょう?「短5度」と「長5度」?・・・残念、ハズレです!

4度と5度はちょっと特別で、ドからファの音程は「完全4度」、ドからソの音程は「完全5度」と呼ぶことになっています。何故かって?・・それは140字でつぶやくには壮大すぎるテーマなので、ここは「そういうもの」と割り切って覚えてしまいましょう。ドからソ♭の音程も少し特殊な扱いをします。

「完全〜」とつく完全協和音程には、半音広がると「増」半音狭まると「減」という言葉が冠せられます。ドからソの音程が「完全5度」なので、半音狭まったドからソ♭は「減5度」というわけです。ちなみにドからファ#だった場合は「増4度」となります。ピアノの鍵盤上はどちらも同じなんですけどね。

これまで登場しませんでしたが、1度と8度も完全協和音程の仲間です。しかも4度&5度以上に稀有な存在で「絶対協和音程」という異名を持ちます。なにしろ完全1度はユニゾンで、完全8度はオクターブなのですから、"絶対協和"するに決まっていますよね。そうでなければ、チューニングを忘れていたのかも?

2017/12/31:  楽典
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